去年の早池峰山、八幡平、そして先日の蔵王山に続き、東北地方の百名山山行である。
今回は天気予報を見て日程を決めるのではなく、まず、目標の山と利用空港を決め、早めに最安料金の便を予約、
その後、詳細な日程を組むという方法をとった。
よって、当日の天気がどうなるか、運を天に任せた次第。もちろん相方と相談してのことである。
その相方はいつもの山友。しかし、いつもと違うのは、初めて「真夏に決行」するということである。
しかも、今夏は、秋田方面が大雨災害に見舞われ、天候不順が長く続いている。直前まで心配の種は尽きない。
また、30℃越えという高温下での登山は、特に高齢者にとり危険であることは言うまでもない。
果たして無事、登り切ることは出来るだろうか?全くの冒険山行である。
その懸念が的中してしまったことは後に記す(熱中症による嘔吐と足の吊り)。
目標の山は秋田県と山形県の県境から中部にかけての山域なので、基点を秋田空港として、空港から現地
までは長距離ではあるが往復レンタカーを利用することとした。
新千歳から秋田空港へはJALの直行便が飛んでおり、かなり早めに予約したので片道8千円と値段もお手頃。
あとはひたすら好天を祈ったが、その甲斐あって当日は絶好の山日和となった。
前日は、午前の便で秋田空港着。この日の宿泊は鳥海山にほど近い猿倉温泉鳥海荘という眺望の良い宿である。
露天風呂から鳥海山の眺めは抜群。ゆっくりと温泉に浸かり、宿の料理に舌鼓、明日からの登山の安全と成功を
祈念し傾けたビールグラスと冷酒に早くもほろ酔い加減。
■2023年8月07日/晴/鳥海山 2,236m
翌朝、天気は晴。早くも気温は高め。宿の真正面から鳥海山の全貌が見渡せる。
宿からレンタカーを走らせ、鳥海グリーンラインを経由し登山口の矢島口祓川駐車場に向かう。45分程の距離。
広い駐車場には先行車数台のみ。登山届を投函し6:47出発する。
矢島口(祓川駐車場)からは、しばらく平坦な木道を行く。出発地点は矢島口5合目である。標高は1,174m。晴れ
渡っている。
ピークまでは標高差1,000m強。秋田県側で最も歴史の古い登山道と言われている。
木道が終わり祓川ヒュッテを過ぎると祓川神社。神社に一礼してここから本格的な登山道となる。徐々に急な坂道と
なり、気温のせいで早くも汗が噴き出す。6合目の賽の河原、7合目御田辺りにはところどころ雪渓がまだ残っている。
暑さとの闘い。辛抱の登りが続く。8合目七ッ釜辺りで右足に違和感を覚える。9合目氷の薬師では大きな雪渓が
現れる。なおも急斜面が続く。右足は筋肉疲労。吊ってしまい痛くて動かせない。エアスプレーで何とかごまかして
耐える。痛みの治まらない間は休み、休んでは又動き出す。
七ッ釜の先に康新道分岐が現れる。その先は「大雪路」と呼ばれる大雪渓を登って行くと、9合目、氷の薬師。
ここら辺は高山植物が咲き乱れるお花畑が見られるが、花を娶る余裕はない。
なおも急坂を登るにつれ今度は、急に吐き気がしてきた。どうやら熱中症の症状だ。ブッシュ帯で立ち止まり吐いて
しまう。
すれ違った登山者からは「水を飲んで、休むように」勧められたが、相方は遥か前方に行っており、一歩一歩進んで
いく。
やがて道は、舎利坂の入口となり石畳が続く。
石畳の先は、岩葛混じりの急斜面を行き外輪の蛇石を登り詰めると、七高山のピーク、標高2,230mである。11:28着。
眼前に飛び込んでくるのは岩石の巨大ドーム、新山の威容である。七高山、御室小屋の休憩は後回しにして新山へと、
急ぐことにする。
新山へのルートは、一旦ドームの急勾配の道を下り、外輪の火口壁に沿ってペンキの矢印を辿っていけば新山の
ピークに到達するが、途中で相方と離れてしまい、私はペンキの矢印を見失って、しばし新山直下で迷ってしまった。
ひとりピークに立つ。12:10着。標高2,236m。
ドームを登り返す途中、御室小屋の手前にて相方と合流。昼食休憩。水のペットボトルを仕入れるも500mml/@500円
の値段には少々驚き。
七高山のピークにて二人で記念撮影の後下山する。帰路は康新道のルートを採る。17:44登山口着。着いて間もなく
雨が降りだした。
今夜の宿は、酒田市内のBH。予定より1時間遅れて祓川駐車場を出て、一路酒田市に向けて63kmの距離を南下。
20時頃、宿で遅めの夕食を摂りながら、鳥海山の無事登頂を記念して祝杯を挙げる。
■2023年8月08日/快晴/月山 1,984m
今朝も空は青く晴れ渡る。月山8合目駐車場に向けてレンタカーを走らせる。酒田市から鶴岡市へとさらに南下する。
約50km1時間の道程だ。
8合目駐車場は広々としている。無料。月山レストハウスや売店、トイレなどの施設が整っている立派な観光地である。
8:21八合目登山口出発する。標高1,385m。頂上まで標高差約600mである。
昨日とは打って変わって、平坦な登山道。風があるせいか暑さもさほど感じない。先ずは木道や石畳の歩きやすい
緩傾斜の道がほぼ中程の標高1,760m、仏生池小屋まで続く。小屋までは疲れもほとんど感じない。トイレ休憩。
仏生池小屋を過ぎると、登山道はやや険しい岩石地帯となる。そしてオモワシ山、行者返しと続く。しばらく行くと
石畳と木道が現れた。辺りはガスッて来た。ここから少し急傾斜の岩石地帯を登って行くと、やがて頂上に到着する。
11:15着。
月山の頂上は、頂上小屋前に標高1,984mの看板がある。地図でも公式の表記はそのようである。しかし、月山神社の
方が標高は明らかに高い。月山神社にお参りするには社殿にて500円を払っての立ち入り許可が必要だ。
この言わば「強制」に疑問を感じながらも、お金を払って神社にお参りした。おまけに、月山頂上小屋は誰でも無料で
休憩もできないようだ。
仕方ないので小屋前の狭いスペースにて人目を気にしながら昼食休憩。
何とも、釈然としないことばかり。山は神社の所有物なのか?
半ば怒りの気持ちを胸に抱いたまま下山を開始する。12:00発。
帰路途中、眼下に見える素晴らしい展望がこの気持ちを癒してくれた。
14:15登山口に到着する。
14:45 8合目駐車場を発ち(下界の気温36℃)、1時間弱のところにある鶴岡市内天然温泉「こまぎの湯」にて、心地よい
山の汗を流す。
ここから一路秋田空港に向けてレンタカーを走らせる。空港まで137km。高速道路を利用して2時間の距離である。
20時発のJAL便にて新千歳、札幌に帰還。
こうして思い出深い、真夏の東北二座山行も無事終えることができた。
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