2019年5月、百名山達成という目標に向かって、宮之浦岳登頂を皮切りに華々しくスタートを切ったが、年末に思わぬ
かたちで父の最後を看取り、そして2020年早々からコロナ禍が全国を襲って本州への山行も中断を余儀なくされた。
そんな訳で、ようやく百名山山行の復活、再スタートと相成った次第である。
先ずは九州残りの百名山4座を一度に登頂しようと次のとおり計画した。初日は、一昨年やり残した開聞岳、2日目
から3日目にかけて熊本周辺の3座を踏破する。
3日目は、登山口を早立ちし午前と午後に一座ずつ効率的に登ることとした。
熊本県内の移動はレンタカーとし、登山の前後2日間は北海道から九州までの移動日とせざるを得ないので、都合
5日間の旅程を組んだ。
幸い天候にも恵まれて概ね計画通の山行となった(長期予報の読みが見事に当った)。
■2021年4月24日/快晴/開聞岳
前日、新千歳空港から中部空港経由鹿児島空港16:40着。登山口に近い宿に前泊するためには指宿が最適。
しかも鹿児島空港から直通の空港バスが出ている。だが、乗換時間は20分しかない。猛ダッシュで何とか17時発
最終便に間に合った。(余談だが、SM便のCAさんには、事情を話したところ席を最前列に移動させてくれた。感謝!)
何となく今回の登山の良き先行きを暗示しているようだ。幸先が良い!
さて、早朝5時に民宿宿を出発。指宿駅のコインロッカーに余分な荷物を預ける。
指宿駅からJR指宿枕崎線に乗り、35分で開聞駅6:32に到着する。
開聞駅は無人駅。開聞岳の方角の見当を付けて6:36に出発する。開聞岳を真正面に見ながらダラダラと上り坂が
始まる。
途中、かいもん山麓ふれあい公園管理棟に立ち寄って場所を確認、二合目登山口に向かう。7:19二合目登山口着。
すぐさま、7:20登山口を発つ。しばらくは新緑の樹林帯を行く。8:07五合目の「救助第四ポイント」に着く。
ここから徐々に傾斜を増して行く。七合目には8:38に到着。休憩を取る。このあたりから岩場の傾斜がきつくなり、
大きな岩稜帯の登山道が続く。
9合目に5mのハシゴ場。ここからピークまで残り400mだが、段々と息があがってきた。低山だからと言って
侮れない。
頂上手前の祠に登山の無事をお祈りする。9:35開聞岳の頂上に到着する。標高924m。快晴の空の下、眼下に
池田湖、錦江湾など、ぐるっと360度の展望。疲れを忘れて大展望に見とれる。
帰路、公園の管理棟にてシャワー室利用(@10分200円)、軽く汗を流し、その後JR指宿枕崎線に乗り、乗換え時間を
利用して指宿駅のコインロッカーから荷物を回収する。
鹿児島駅から45分、新幹線にて熊本駅へ。駅前ホテルに投宿する。
■2021年4月25日/快晴/阿蘇山
今日も空は真っ青に晴れ渡る。
前泊したホテルを7:30に出発。まずは、駅前のレンタカー屋にて予約済みの車を3日間レンタルし、阿蘇山の登山口に
向かう。ここで問題発生!車のナビで阿蘇山仙酔峡登山口が表示されない。取り敢えず阿蘇方面に向かうことにする。
車は阿蘇山ロープウェイ(休止中)のある最もポピュラーな砂千里への西登山口に着く。ここの売店で仙酔峡登山口
までの道順を教えて頂いき、やっとのことで予定の登山口に到着する。
1時間遅れの11:15仙酔峡登山口を出発する。
しばらくの間、ロープウェイ後に沿って中岳噴火の爪痕を感じながら、簡易舗装の階段状の登山道を登って行く。
小一時間で火口東駅に到着。噴火により破壊された跡が痛々しい。所々にトーチカ風の避難所も見てとれる。
ほどなく稜線に出る。火口東展望所だ。一気に視界が開ける。火口から噴煙が立ち上っている。
ここから中岳はもうすぐ目の前だ。緩やかな傾斜の砂礫帯を行く。沢を吹き上がる風が強い。中岳ピーク12:19着。
噴火口の向こうに阿蘇のカルデラの街並みが一望できる。高岳ピークも望まれる。
高岳へと行く登路の右手斜面では風を避け春の陽気に誘われてか、幾つかのグルーブがシートを広げてピクニック
の様相を呈している。
直下の急斜面を登って高岳ピーク13:19着。中岳から20分程だ。
しばしピークにて眺望を楽しむ。カルデラ地形の中心部に聳える最高峰1,592mの阿蘇山。カルデラ内には多くの
人口を擁する阿蘇の街。自然と歴史が生み出したこの地域の不思議に思いを馳せる。
40分ほど休憩して13:52下山開始。仙酔尾根を下る。きつい急傾斜の岩場の下りが登山口まで続いた。少しも気を
抜けない。一時間43分要して15:35仙酔峡登山口に到着する。
登山口からの帰路途中、国道57号手前にある仙酔峡温泉「かんぽの湯」にて日帰り温泉に浸かる。風呂上がりに
ビールでもあれば言うことなしだが、楽しみはこれから車で約一時間、明日登る祖母山の登山口までお預けだ。
気持ちの良い山旅にひとまず大満足。今夜の飯と明日の朝食等をコンビニで仕込んで一路登山口に向かう。
■ 2021年4月26日/快晴/祖母山
前日は、北谷登山口の入口を見つけるのに手間取り、結局登山口に到着したのが辺りが薄暗くなった午後7過ぎ。
登山口の割と広い駐車場に先行車は2台。今夜は車中泊だ。ここまで無事来られたこと、明日の安全を願って独り
缶ビールで乾杯。明日は二山のハシゴ。早めに就寝する。
ところが、寒さに目が冴えてなかなか寝つかれず、朝方までウトウトする。
6:00登山口発。登路は右手の風穴コースとする。しばらくは沢を渡りながらの変化に富んだ道を行く。登山道はよく
整備されていて歩きやすい。
ジグを切りながらの緩やかな登高。50分ほどで風穴の入口である。覗くだけで急ぎ通過する。頂上下のハシゴ場を
7:45に通り過ぎ、ここから30分であっけなく祖母山頂上に8:15到着である。登山口から2時間15分の登りであった。
ピークからは360度の大展望。阿蘇山や九重連山が良く見える。
また、ピークには神武天皇の祖母「豊玉姫」を祀ったとされる石の祠が祀られている。
まさしく霊峰、祖母山である。
40分ほどピークの景色・展望を楽しんで下山開始する。
下りのルートは比較的緩やかな千間谷コース。途中の国観峠、三県境(茶屋場)の千間平を通り過ぎ、アップダウンを
繰り返しながら行くと右手に分かれる「展望所」の標識。
何の展望所かと登ってみると、そこは阿蘇山や九重連山の格好の展望台であった。二度も秀麗な展望を楽しめる
誠に贅沢な山旅である。
登山口には予定の10:30に到着した。今日の二座目、九重山を目指して10:45牧ノ戸峠登山口まで長駆車を走らせる。
Googleの地図では54km、一時間超の距離。
登山の疲労に加えて車の運転は高齢者には過酷なものだ。
■ 同日午後/快晴/久住山
ほぼ予定通り牧ノ戸峠レストハウス前に到着。ここで重大アクシデントに気が付く。
残り少なくなったスマホのバッテリーが運転中の車内電源からUSB充電されていなかったのだ。
モバイルバッテリーも既に使い切っている。レンタカー屋さんに接続機器を借りなかったことを悔やんでも後の
祭り。仕方なくスマホでのヤマレコアプリによる登山記録は諦めて、代わりにデジカメで凌ぐことにする。
足取りも重く、12:41牧ノ戸峠登山口を出発する。しばらくは階段登リが続き第一展望所を過ぎた辺りから
岩場となる。ほどなく沓掛山。岩場を過ぎると平坦な道が続く。
扇ヶ鼻分岐、星生山分岐と続き、道は久住山避難小屋へと急勾配の岩場を下っていく。
避難小屋を過ぎると、正面左手に久住山への登りが始まる。久住分かれを左に行くと中岳への道。右手に折れて、
久住山山頂へと急ぐ。ガレ場、辛抱の登りが続く。
久住山山頂1,787mには、15:40到着する。万歳!心地よい疲労感。
十分に時間が遅いせいか、山頂は独り占め。
ぐるっと大展望だ。九重連山をはじめ遠く阿蘇山も見渡せる。
記念すべき久住山ピークの1枚。セルフタイマーをセットしてシャッターを切る。
中岳へは一時間もあれば往復できそうだが、この辺で体力の限界。涙を呑んで断念する。
だが3日間で4座登頂という目的を果たした満足感と達成感は、万感胸に迫るものがある。
その余韻に浸りつつ、もと来た道を引き返すべく15:55下山を開始する。
牧ノ戸峠登山口には17:25無事到着する。
今夜の宿は阿蘇市一の宮町のホテル、疲労困憊の身体で、小一時間車を走らせる。
その日は三日間の疲労から文字通り爆睡する。
■ 2021年4月27日/快晴/移動
翌朝、ホテルから荷物を宅急便にて自宅に送り、一路熊本空港に向けて出発する。
熊本空港にて3日間世話になったレンタカーを返却。(なお、車にかかった費用はレンタカー代3日間で11,340円、
ガソリン代約2,500円也)
熊本空港10時発のLCC便にて成田乗継ぎ、新千歳空港に予定通り16:15に到着し、今回の山旅を締めくくった。
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